●セトグラス保育園
この1,2年の政府の方針で、各学校に幼児部を置き、小学校教育の前に、幼児教育により学習の準備をするようになってきた。公立の保育園は無料である為、セトグラス保育園も以前のように一杯ではないが、年齢差で分けた5つのクラスにはちょうどよい人数の子供たちが来ている。セトグラス保育園では近隣の保育園からの要請で、度々出張研修会を開き、コミュニティー・ベースの保育園運営、地域の人々と保護者が保育園やその先生を援助、協力体制で運営して行く方法を教えている。公立校の保育園からの要請があり、セトグラスの先生3名が、往復6時間の距離を歩いて出張した。
2012年には10回の研修を行い、今年は既に4回の研修を行い、近隣の保育園、地域の援助者からもよい評価をいただいている。JOMASによるセトグラス保育園支援が始まって18年になるが、いつの間にか近隣の保育園の先駆けとして役に立てるようになってきた。シスター金谷も70歳を越えた。
●Asha Kiran 希望の光保育園・託児所
Asha Kiran1とAsha Kiran2(支部)に分かれており、園児数合計56名、先生は各2名
●ラリグラス・マリア保育園・託児所
ラリグラス・マリア保育園は創立から10年目にあたる。昨年借家からの立ち退きを申し渡されたが、丁度礼拝会シスター方のHIV患者子女の寮が空き部屋になり、そこに引っ越すことができた。部屋数や大きさが適当で、清潔であり、前庭付きということで皆大喜びである。
園児数45名 先生は2名
決定 3保育園の先生の給料他経費
オガール・サン・ホセはオガール・テレサ・デ・ロスアンデスと同様、JOMASが継続的に援助している重度心身障害児施設であり、礼拝会のシスター斉藤クニ子が長年監督をしている。
保護者に捨てられた0~15歳までの重度障害児の成長を促す為、彼らの身体的・知的・社会的能力を最大限に引き出し活用できるようプログラムを組んでいる。
ホームにいる子供達は全て、脳性マヒ、小頭症、自閉症、てんかん等発作症候群、ダウン症、多様な遺伝的症候群等の“認識”に関する障害を持っている。
その為専門職の協力、助け、或いは外来の診察、薬や栄養サプリの購入等が必要になってくる。
オガール・サン・ホセは他の団体からの散発的寄付で生活しているがこれだけでは、子供達の栄養状態を良好に保ち、さらに専門家たちへの支払い、子供達の痛みを和らげる薬の購入を賄いきれずJOMASからの援助を必要としている。
[1] 医師等への年間支払
[2] 薬品、栄養補助食品購入及び外来診療費
決定 年間医療費と薬品、栄養補助食品購入費他
昨年6月のJOMAS例会にて、聖ラファエル病院に来る、支払いのできない妊婦への援助金について、決定された。その後、シスター黒田は貧しい妊婦の緊急の処置や高額の検査などに援助金を使用、経過報告があった。1年間シスター黒田が数々の病院を視察した結果、今後の援助金のあり方の提案がなされた。
毎年JOMASからの援助金に頼るのではなく、「聖ラファエル病院慈善基金」として原資をJOMASからいただき、当地の篤志家から寄付金を集めて、自立できるようにするというものである。
シスター黒田からの視察報告によると、パキスタンには医療保険制度は無く、国立病院では貧しい人々の為の検査、手術、薬品代は全て無料である。ファイサラバードには4箇所国立病院があり、立派な建物、機械、沢山のドクターが任務に当たっており、医学生の研修もここで行っている。殺伐としてはいるが、非常に寛大に貧しい患者を迎えている。“私は貧しくお金がありません”と窓口で一言述べるだけでよいということである。産科を特に調べてみると、国立病院では正常分娩は非常に稀であった。貧しい人々は家庭で自然分娩を試み、難産になったら無料の国立病院に駆け込み、帝王切開をすると言った具合である。一般の人々は個人病院を選ぶことが多い。価格は色々だが、一般に高価で特に薬品が高価である。〔国立病院での処方のみ薬品は無料で提供されている〕
ラフォールとムルタンにプロテスタントの大きな産科病院があるが、そこでは自然分娩をするのが風潮になっている為、推進はしなくても帝切率は50%である。その為価格も程ほどで、助産師が主流になって2-3人のドクターとのチームワークで大病院を運営している。以上のことを踏まえると、極貧の妊婦は緊急時以外は国立病院へ送り、少額しか出せない妊婦に対しては自然分娩により出産費用を安くし、安全性を確保するための検査や緊急時の手術の費用を援助することがよいという結論に達したということである。
一方自然分娩推進の企画は実りを見せつつある。帝王切開、陣痛誘発の適応、予定日超過妊婦等について、医療方針を具体的に決定し、一般化したため、助産師、医師、妊婦、関係者の一致した意識が高まり帝王切開率は少しずつ確実に下がっている。病院に妊婦も増え、活気が出てきており、70%空床は間もなく満床になる見込みである。しかしシスター黒田は医師の増加はせず、産科外来新築完成を目指して、外来妊婦診察のために助産師を養成する方針である。
現在シスター黒田は慈善基金を始めるにあたって対象になる妊婦の選定や、援助内容を明確にするため、システムを作っている。パキスタンにおいては、裕福な人たちの中には寛大に貧しい人たちを援助する人がいるので、慈善基金設立に期待しているとのことである。
決定 貧しい妊婦への援助金
☆JOMASは具体的なこと、ものについて援助金をお出しし、受け取られた宣教者の方々は、それを速やかに使用し、報告していただくことを旨としているため、今回の援助金は銀行に預ける「慈善基金」としてではなく、パキスタンの篤志家から基金を集めるまでの間の「貧しい妊婦への援助金」として使用していただくこととする。